誰も書かなかった葬儀のお話 『夏の変死とかかりつけ医師のはなし』・・編

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先日の話です。

事後案件(人が亡くなったということ)で、老人施設から緊急で病院に搬送されたというので指定された病院に向かいました。

「老人ホームには嘱託の医師がいるはずだがなぜ病院に運ばれたのか・・?」

不思議に思いつつ病院へ到着。
変死の場合は警察が介入します。事件性がないか調べるのです。そして監察医のもとへ移動されて死因を突き止めることになっています。

時はちょうどお盆・・昼間ではありましたが、ギリギリ今日診てもらえるかな〜という時間帯でした。監察医が見つからないと検案は翌日以降となり、全ての業務とご家族の不安な状態が一日伸びます。ドライアイスを当てる事も許されないので、お身体の管理が非常に難しくなります。

ご家族ともお話をしてこれからの流れを説明します。とにかくわかりやすい言葉で、自分が言われても納得するような言い方を私は心がけています。きっと心は折れる寸前くらいに苦しいはずですから。

監察医が見つかり、素早くお身体を移動、無事その日じゅうに検案を済ませることができました。ちなみに1日伸びた場合、搬送費用と安置代がそれぞれ嵩み、全てご家族の負担となります。費用の面を考えてもその日に出来たことは有難いです。

ここでふと思うのが最初の疑問
「なぜ老人ホームから緊急で運ばれたのか?」
です。
ご家族に伺うと、かかりつけ医は別の病院にいらっしゃるそうで、今回は緊急でそことはまた別の病院に搬送されてしまい、変死扱いとなったようです。多分この故人様はホームの自室でほぼ事切れていて(食道にモノが詰まった模様)、それを見つけたホーム職員が慌てて119番してしまったのでしょうか?

このあたりに関してはもう少し調べてみますが、私は今回
『かかりつけ医がいる、ということをもっとアピールしなければならない』
という印象を強く受けました。

日頃から「私の主治医は〇〇病院の□□先生だ」
と、周りに言っておいたり紙にでも貼っておく。またはカードに紐でも通して首から下げておく、くらいにしないと、万が一の際
〝変死扱い〟
になってしまう可能性があるのです。せっかくかかりつけ医がいるのに、変死扱いとなってあちこちに連れて行かれて、衣服を剥がされ、その上費用も嵩んで・・何もいいことありゃしない。

かかりつけ医がいれば、亡くなったところで慌てることはありません(でも絶対慌てるけど・・)。連絡して診察してもらい、死亡診断書を書いてもらうだけです。もし最期を看取れたのであれば、亡くなった時間を覚えておくと良いそうです。それを到着した医師に伝えれば、それが死亡時刻になります。
ただこれをするにはかなりの胆力が必要でしょうね。今の日本人は〝死〟に慣れていませんので。でも覚えておいて欲しいのは、死は100%です。生まれない命はあっても、死なない命はありません。家でも学校でも子供にどんどん伝えて欲しいです。これ以上に大切なことが、この世にありますか?、くらいに私は思いますが・・

断言しましょう。『そろそろいい歳』になったら死亡診断書を書いてくれる良いお医者さんを探しましょう。点滴一本でも打ってもらえば立派な診察です(多分)。そして
「何かあったらあなたに任せる」
と言っておき、そのかかりつけ医の存在を周りに周知させてください。
と同時に、良い葬儀屋さんも探しておくと良いでしょう。万が一の際の段取りや用意するものや費用を理解しておくだけでも違います。(写真は必須アイテムです!)

葬儀屋の立場で言わせてもらえば、『死亡診断書』さえあれば後の手続きは全て出来ます。葬儀から全てのことです。無ければ何も出来ません。

すでに亡くなっているのに救急車を呼んでしまうと、そのまま警察案件となります。(余談ですがこのあたりは山田洋次監督の映画『家族はつらいよ2』をご覧ください。とてもよく描けています)。身内が亡くなって心の中はつらいのに、その痛くもない腹を散々かき回されます。

かかりつけ医がいるのに、周知されていないと変死扱いになってしまうんだなーと知らされた一件でした。
私は心を込めてお見送りするだけです。合掌=