誰も書かなかった葬儀のお話 『宿泊編』

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お通夜の晩に宿泊できる葬儀会場はあります。「お通夜の晩に故人を一人にさせては可哀想」だとか、「家族がお守りをするのは当然」だとか、単純に「故人と一晩一緒にいたい」など、理由は幾つかあります。

葬儀のルーツはその昔、火を焚いて夜通し野犬などから故人の亡骸を守ったことから、お通夜は始まったと聞いたことがあります。一晩かけて葬儀の道具を作ったという話もあります(諸説あり)。

現在、夜通し線香をあげ続けられる施設は自宅を除いてはほぼありません。式場は大体において夜9時以降は線香はあげられません。火事になっては大変だからです。人がいる場合は点けても良いのですが、誰もいなくなっても火が点いていては危ないので消していただきます。心配なときは、蚊取り線香型お線香(通称“マキセン”)を用意してご尊前に置きます。これですと数時間燃え続けるので、ひっきりなしに線香をあげる必要がありません。

葬儀式場は“葬儀の会場”であって、宿泊施設ではありません。シャワーや浴室がない(=お風呂に入れない)場合も多々ありますし、寝具を手配して控え室等に“仮眠”するだけのものです。

私も父の葬儀のときは式場に泊まりましたし、泊まりたいと思う気持ちは分かります。実際泊めてもらえるだけで有難いと思いました。翌日も移動しなくて済むのでとても楽です。

お客さんに勘違いして欲しくないのは、葬儀式場はホテルや旅館じゃないってこと。
「ここには◯◯がない」「どうして◯◯がないんだ」
とやたら仰る方がいるのですが、ここはホテルではありません。葬儀の専門施設であって、宿泊施設ではないのです。一日やそこら風呂に入らなくても歯を磨かなくても死にはしません。私なら用意があろうがなかろうがタオルと着替えと歯磨きセットくらい何も言われなくても持参します。泊まるって覚悟がないのです。

日本のホテルや旅館の設備は素晴しいのは分かりますが、日本の“豊かさ”がこんな部分で見え隠れするのです。